ほんもの。

ああご飯食べてない! ていうか返信してない!

携帯がどこにあるのか分からなくて、右左と見回す。ちょうど着信がきている。

「もしもし!」

『大丈夫か』

「だ、大丈夫です。あれだよね、ご飯!」

『月白の家の前にいる』

え、と携帯が滑って落ちた。ぴんぽーん、とのんびりとしたチャイムが鳴る。

「ちょっと待って、今まだ部屋着で。五分、五分待って」

『は?』

「ごめん、実は今起きたばっかりで」

『とりあえず開けろ』

有無を言わせぬオーラが電話越しに伝わってくる。
こ、怖い。メリーさんじゃないと分かってるのに怖い。

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