ほんもの。

そのモヤモヤをどう対峙しようかと考えていたら眠ってしまったのだった。

昨日のこと、聞けば良い。聞いたら安藤は何かを答える。
でも、誤魔化されてしまったらどうすれば良いのか。

安藤に嘘吐かれたら、ちょっと、立ち直れない。

そんなことを、いつか安藤も言っていたっけ。

「十和子さん」

「あ、はい」

「飯はどうしますか」

「今すぐ、着替えてきます」

寝室に入って扉を閉める。クローゼットから服を出して、着替える。

バイブ音が聞こえて、ソファーから立つ気配。

「……はい、大丈夫です。……ええ」

リビングから出て行った音。

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