ほんもの。

他人にあんまり興味がなくて、恋愛関係に対して冷めている。

でもこんな格好良い顔して身長も高くて仕事も出来る安藤にも、そういう人間臭い部分があったのかと思うとほっとする。

私たちはそれぞれ注文したものを食べて、部屋を出た。
ロビーにもあの三人の姿はなくて、目で探している間に安藤が会計を終わらせていた。

「払う、と思ったけど今お金ないんだった」

「なんだそれ」

あ、ちょっと笑った。

「会社で、きちんと返します……」

「いらない」

きっぱりと断られた。それではここは安藤の顔を立てるということで、なんて心の中で言い訳をして言葉に甘えることにした。

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