ほんもの。
ぽい、と鞄の中へ携帯を戻してぶり大根に戻る。
安藤は何も言わないでくれた。
「……ご飯ないの?」
「あんた結構図々しいな」
「ないなら良い」
「……待ってろ。味噌汁と辛子和えも持ってくる」
安藤ママ大好きー、と言えば頭にチョップが落ちてきた。容赦ない力。痛い。
「馬鹿」
会社はいつも通りだった。
相変わらず矢敷さんは間違った数字を直しに行っていたし、先輩は運命の相手を探しに合コンへ行くと話していた。
安藤は私と三島さんが別れた話も言いふらしてはいないらしい。本当に個人的興味だったのか。