ほんもの。
こんなことを言ってはあれだけれど、私は今夢の中にいるのかな。
「疑ってないよ、そんな風に聞こえたなら謝る」
安藤が肩を竦める。殴り合いが始まるような気配は少しもないけれど、次どちらかが口を開いたら、言い合いが終わらない気がした。
「ごめんなさい」
私は立ち上がった。そして財布から千円を出してテーブルに置く。
お詫びのお札ではなく、コーヒー代だ。
「三島さんの言う通りです。私、あんまり貴方のこと好きじゃありませんでした」
それに、
「ずっと考えてました、私も貴方の愛情を疑ってたんです。絶対貴方は私を選ばないって」