ほんもの。

家にヌイグルミ……ないし!

「さっき振られたんだから少しは慰めてくれても良いと思うんだけど⁉ 安藤はそういう配慮がない!」

「自己完結してる人間をどう慰めんだよ」

「もっと良い男がいるとか! もっと……良い男がいるとか!」

それしかねえのか、と呆れた顔で安藤が嘆息する。肩から手が離れた。

私は少し興奮し過ぎたなと思って、ウーロンハイを仰ぐ。ああこれは自分を冷やす水ではなく、煽るだけのガソリンだった。

「いいじゃん、安藤は。好きじゃなくても結婚したいと思わなくても、安藤に処女捧げますみたいな子が寄ってくるんでしょう?」

でも私は違う。

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