ほんもの。

広報を覗くと、やはり人が少ない。柳田さんという女性社員に話しかけた。

「経理の月白です。ここ修正お願いします」

「え……? ああ」

伊勢先輩と同期の人だっけ。見たことはあるけれど。

もちろん安藤の姿もなく、私は経理の仕事をしに来ただけになった。いやそれは本意なんですけど。

「矢敷くんは? なんで月白? さんが来るの?」

私の首から提げているカードホルダーを見た。

「私も経理なので」

白とピンクのマニキュアが目に入る。
納得いかないという雰囲気がだだ漏れだ。不服そうに返した書類をペラペラと扇ぐ。

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