白馬に乗った上司様!?
「入りづらくてまた店の前でウロウロさせたらいけないからね、待ってたんだ」

会えてよかったと笑う課長は、私より先にお店に着いて置くために急いだらしい。少し息が上がっている。

「走って来たんですか?」

「駅からね。でも走って良かったよ、西春さんが来る前にちゃんと待ってられた」



あまりに爽やかで優しい言葉に私が走り出したくなる。そんな言葉をただの部下に言うなんて、反則過ぎです!



横を向いて必死に赤くなった顔を隠す私は、そんな事には気付かない課長に続いて店に入って、また走って逃げたくなった。

「あの課長、今日は旭野主任は?」

「え?来ないけど。会いたかった?」

会いたいわけじゃない。ブンブンと首を振って否定しながら、2人きりで食事する居たたまれなさを「仕事の話をするだけだから」と必死に乗り越えようとする。

たとえ仕事の話でも、憧れの人と2人きりで食事なんて私にはハードルが高すぎる。
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