白馬に乗った上司様!?
「はぁ……」

驚いて間の抜けてしまった返事をしながら、目の前の課長を見つめる。

私はそんな考え方、した事もなかった。やっぱり出来る人って物事を多角的な視野で見れるんだ。

「だからさ、今回の事は人材育成って意味でも良い機会ではあるんだよ。で、本題の中村さんの話ね。彼女は自分を成長させよう、とかもっと営業アシスタントとしてスキルアップしようって考えがない。しかもその事で会社に損失を与えているって気付かない自己中さがある。でしょ?」

「それはまぁ、そうかもしれません……」

仕事はいい加減でも中村さん本人が悪人って訳じゃない。だから正解でも、そこまでばっさりと切り捨てる言い方には賛同しにくい。……自己中なのは否定しないけど。

言葉尻を濁した返事に、課長は片方だけ眉を上げる。私の返答が意外だったらしい。

「あんなに利用されてたのにかばうんだ?」

「かばってる訳じゃないです。ただ、中村さんみたいな生き方って女子としては正解って言うか、ちょっと羨ましいトコはあるので…」

そう、羨ましいんだ。
好きな男性の前で可愛いらしく振る舞えたり、ちやほやされて嫌な事や面倒な事をスルー出来る女子力の高さは、私にはない。
< 63 / 66 >

この作品をシェア

pagetop