誰かがどこかで救われる
私はまだ中学生で
いろんな事がよくわかってない。
わかってないけど
今わかるのは
このまま帰ったら
一生後悔するって事だ。
私は自分の足をそのままドアの隙間に入れ、扉を開いて杏珠の腕をつかみ扉の外に引っ張り出した。
油断していた杏珠のお父さんは突然の私の行動に驚き、すっかり油断していたようだ。
「あっ……杏珠は、あの……今日はうちに泊まります! テスト勉強します!」
私達は走り出す。
一生懸命
夜の住宅街を走る
全力疾走する。
振り向きたくない
杏珠の手を離したくない
絶対離さない
絶対絶対
離さない。