誰かがどこかで救われる
杏珠を私の部屋に連れて行き
私はクローゼットの中をさがして
ユニクロで買った新しい部屋着を杏珠に手渡した。
先月お母さんにおねだりしてよかった。
「よかったら着替えて」
杏珠に渡すと
杏珠は「ありがとう」って言ってから、崩れるようにその場に座り込む。
「杏珠大丈夫?」
「うん……心愛の行動力がすごくて……びっくりした」
「私も自分でびっくりした」
杏珠と正面で座り込み
やっと私達は笑った。
笑った杏珠の目が潤んでいて
ちょっと私の目も潤んでいて
これからの事を考えると
もっと目が潤むかもしれないけれど
私の行動は正解だったって
なぜか強く自分で思っていた。
着替え終ると
妹の心音が部屋をノックして
「ごはんだってー」って部屋に入ってきた。
5年生の心音は私と同じ身長。
バスケをやってるからもっと伸びそう。
最近は生意気発言が多いけど、今日は杏珠を目の前にして大人しい。
「心配かけてごめんね」
杏珠は心音にまでそう言って優しい顔をするので、心音は顔を赤くしてブンブンと首を横に大きく振って否定する。
心音も杏珠の魅力に墜ちたな。
さすが杏珠。