銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
多分俺の叔父が彼女の父親を処刑したから確認したのだろう。
だが、俺が彼女を捕らえるわけがない。
「誓います。彼女は俺の命の恩人です」
真っ直ぐ院長の顔を見て答えれば、彼女はホッと胸を撫で下ろした。
「彼女のお父様はうちに毎年多額の寄付をしてくださいました。彼女が小さかった頃、お父様と一緒にうちを訪れて今日のようにお菓子や果物を何度も差し入れてくれて……。ですが、彼女のお父様が処刑されて、お母様は屋敷を焼かれて自殺され……、近衛兵に追われた彼女は一時期ここに逃げ込んだのです。すぐに追っ手がこちらにも来てここを出て行きましたが……」
院長の話に胸が詰まった。
「そうだったんですね」
俺は小さく相槌を打つ。
近衛兵がセシルのことを追っていたなんて知らなかった。
いや、あの時はレノックス公爵が処刑されたことすら知らなかった。
だが、俺が彼女を捕らえるわけがない。
「誓います。彼女は俺の命の恩人です」
真っ直ぐ院長の顔を見て答えれば、彼女はホッと胸を撫で下ろした。
「彼女のお父様はうちに毎年多額の寄付をしてくださいました。彼女が小さかった頃、お父様と一緒にうちを訪れて今日のようにお菓子や果物を何度も差し入れてくれて……。ですが、彼女のお父様が処刑されて、お母様は屋敷を焼かれて自殺され……、近衛兵に追われた彼女は一時期ここに逃げ込んだのです。すぐに追っ手がこちらにも来てここを出て行きましたが……」
院長の話に胸が詰まった。
「そうだったんですね」
俺は小さく相槌を打つ。
近衛兵がセシルのことを追っていたなんて知らなかった。
いや、あの時はレノックス公爵が処刑されたことすら知らなかった。