銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
やがて日が落ちてきて孤児院を後にする。

連弾で少し打ち解けたかと思ったが、セシルはすぐに無表情になり、ひとりで足早に宮殿に戻ろうとした。

そんな彼女を追いかけて、その腕をつかむ。

「危ない通りもある。ひとりで行くな」

「大丈夫です。ひとりで歩くのは慣れていま……‼︎」

セシルが俺の腕を振り払おうとしたその時、剣を抜いた六人の男達に囲まれた。

咄嗟に彼女を俺の背後に隠すようにして剣を抜く。

セシルがいてこの状況はマズイ。

どうする?

見た感じ、敵は結構な手練れで、殺気が漂っている。

それに、何も話しかけてこない。

多分、俺が王太子と知っているのだろう。

サーロンの手先かもしれないな。

狙いは恐らく……俺の命。

「あなたの客?」

声は緊張しているが、それでも彼女はユーモアのセンスを交えて俺に確認する。


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