銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
この生意気な口の聞き方、昔と変わらない。

「無茶だけはするな」

彼女にそう注意すると、指を口に当て口笛を鳴らした。

多勢に無勢。

このままではいずれやられる。

「それは魔人でも出てくるのかしら?」

敵を見据えたままセシルは問いかける。

「楽しい妄想だが違う。俺の相棒を呼んだ」

チラリと彼女に目を向けそう答えれば、顔に傷のある男が彼女に剣を振り上げた。

身を翻して剣でその男の攻撃を封じる。

そいつと睨み合っていたら、急にセシルが「ジェイ!危ない!」と叫んで俺に覆い被さった。

それと同時に何かがシュッと音を立てて飛んできて、彼女の腕をかする。

「うっ……」と呻いて屈み込むセシル。

その身体を支えるが、顔に傷のある男がすかさず攻撃してくる。

その時、一羽の鷹が飛んできてその男に襲いかかった。

その鷹は俺の頼りになる相棒で名前はヒューゴ。
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