銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「うう……ん」

目を擦りながら目覚めれば、目の前には銀髪の美しい青年の顔。

その彫刻のような端整な顔立ちにドキッとする。

サファイアのように綺麗な瞳に、日の光のようなその髪。

これ程美しい人を見るのは初めてだった。

彼と目が合い、「おはよう」とその綺麗な青い瞳が微笑む。

昨夜も面差しが美しいとは思ったけど、暗かったし、まさかこれ程とは思わなかった。

「……ジェイだよね?」

戸惑いながらそう問えば、彼は柔らかな笑みを浮かべた。

「そうだよ、セシル。寝ぼけているの?」

その笑顔に胸がキュンとなる。

「……そ、そうかも」

激しく狼狽えながら彼から目を逸らす。

命の危険はないけど、この人をずっと見ているのは違う意味で危険だ。

みんな恋に落ちちゃうよ。

何者かもわからないのに……。

どうしよう〜。心臓がバクバクしてきた。
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