銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「やっぱり俺が怖いか?」

少し寂しげな声で彼が問いかける。

「違う!こんな格好いい人見たの初めてだから、驚いちゃって……」

慌てて彼に目を戻して正直に伝えれば、ジェイは安堵した顔で私の頰に触れた。

「それを言うなら、君だよ。目が覚めて起きたら、腕の中にいたのはこんなに綺麗な天使だったからビックリした」

「私は綺麗なんかじゃ……」

褒められたのが照れ臭くてまたジェイから視線を逸らせば、彼の手の爪に目を奪われた。

全部……黒い。

凝視していたら、ジェイは自嘲めいた声で言って爪を隠した。

「気味が悪いよね、この爪。でも、悪魔じゃないよ」
「……どうしてこんな色に?」

気になって聞けば、彼はその青い瞳に暗い影を落として答える。

「拷問を受けたら、こうなったんだ」

「拷問?」
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