銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
目の前には真剣な面持ちの彼。

慎重にボタンを外して、私の服を脱がせる彼をじっと見つめるが、下着に手をかけられ慌てた。

「そ、それは……」

あたふたしている間にさっと下着も脱がされ、すぐに毛布をかけられる。

ホッとしたのも束の間、ジェイは私の腕を掴んで食い入るように見つめた。

「思っていたより……深いな」

彼のサファイア色の双眸が曇る。

「……こんなの平気よ」

強がってみせるが、傷の状態を知るのが怖くて目を背けた。

「約束してくれ。何か危険を察知したらすぐに逃げると」

ジェイは私の頰を両手で挟んで目を合わせ、聞いていると切なくなるような声で懇願した。

その必死な声に……胸が締め付けられそうになる。

でも、きっと次彼が危険な目に遭ったら同じことをするだろう。

「逃げるなんて出来ないわ。身体が自然に動くのよ!」
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