銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「人の心配ばかり……変わってないな、セシル」

親しげに名前を呼ばれ、一瞬心臓が止まった。

それはもう私だと確信している声で……。

やっぱり……彼は騙せない。誤魔化せない。

もう否定はしなかった。

何も言葉を返さない私の顔をじっと見ながら彼は話を続ける。

「本当はコンラッド男爵令嬢の振りをするお前をそのまま見守って様子をみようと思った。だが、見守るだけなんて出来ない。こうして捕まえていないと安心できないんだ。なぜかな?」

ジェイは自問自答するように言って、私の肩に手を回して抱き寄せる。

くるっと向きを変えさせられ、彼と向き合うが、お互い裸で恥ずかしいとか、そんな考えはもう浮かばなかった。

「レノックス公爵が処刑され、その令嬢が行方知らずと聞いてからずっと探してた。コンラッド男爵令嬢の振りをしているということは、今は彼のところにいるのか?」
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