銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「……ねえ、今日私達を助けてくれたあの鷹があなたの相棒なの?」

「ああ。名前をヒューゴというんだが、元々は父のものだったのを俺が譲り受けた。もう五十年くらい生きているらしい」

ジェイの説明に驚き、声を上げる。

「五十年も?」

人間と同じくらい生きるんだ。

「鷹は最高でも七十年ほど生きるそうだ。だが、四十年生きるとくちばしがダメになって普通は死ぬ。そこで、鷹は命の選択をする。自分のくちばしを岩に叩きつけて割ってまた新しいくちばしが生えるのを待つか、そのまま獲物が取れなくなってただ死を待つか」

「じゃあヒューゴは新しいくちばしを手に入れたのね?」

自分の鷹でもないのに嬉しくなって彼に確認する。

「ああ。ヒューゴは俺なんかよりずっと強くて逞しい奴だ」

ジェイはフッと微笑しながら答えるが、彼の言い方が気になった。

< 129 / 263 >

この作品をシェア

pagetop