銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「ジェイだって強いわ」

彼の目を真っ直ぐに見て伝える。

お世辞ではなくそう思った。

私が知っている中で、彼は一番強い。

剣さばきも見事だし、身体の動きも俊敏だ。

「それはどうだか?だが、大事なものを守るためにもっと強くなりたい。もっと……」

ジェイが私を熱い眼差しで見て、頰に触れてくる。

ビクッと金縛りにあったかのように動けない。

彼がゆっくりと顔を近づけて、唇を重ねてきた。

熱い……口付け。

身体中の血がカーッとなって沸騰しそうだ。

ジェイの腕を掴んで応えれば、彼は突然キスを終わらせた。

「……お前がいると理性をなくす」

自嘲気味に呟くジェイ。

その声に我に返り、急に恥ずかしくなった。

また……彼に流された。

彼の婚約者でもないのに……私何やってんの?

ジェイは王の側近だ。

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