銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
ジェイは、私の考えを見透かしたように言う。

「もうしばらくって……いつまで?」

こうして薬を塗られる以外にも毎晩薬草風呂に入れられて添い寝されるなんて……もう無理!

毎晩風呂に入るのが貴族でもどんなに贅沢かは知っている。

公爵令嬢だった時でさえ三日に一回だった。

自分の部屋に戻れば、毎日お風呂なんて無理だろう。

ここにいれば傷も早く癒えるかもしれないが、私は自分の部屋に戻って落ち着きたいのだ。

彼は私の裸を見ても平然としているけど、私はそうじゃない。

心臓がドキドキしすぎておかしくなりそう。

それに、恋人でも婚約者でもない人に肌を晒して、一緒に寝るって……他の令嬢に知られたら貞操観念を疑われる。

他の令嬢達と部屋が離れていたことに感謝すべきかもしれないけど、そのうち誰かに知られて変な噂が立ってしまったらと気が気じゃない。
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