銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「この五日間ずっと寝食を共にしたんだ。お前の考えてることなんて手に取るようにわかる」

彼に馬鹿にされているような気がして、悔し紛れに憎まれ口を叩いた。

「私もあなたが実は紳士じゃないってよーくわかったわ。最初会った時、笑顔が素敵で物腰が柔らかい優しい人って思っていたけど、それは私の妄想だったのかもね。薬飲まないと怖い顔で怒るし、意地悪なことだって言うし、勝手にキスだってして、胸だって触って……あっ‼︎」

余計なことまで言ったと慌てて口をつぐむも、彼は私に顔を近づけて悪魔のようにニヤリとする。

「それは、もっと触れて欲しいって言っているように俺には聞こえるんだが」

彼のサファイア色の双眸が妖しく光る。

「そんなこと言ってません!あなたの耳がおかしいのよ!」

ジェイの追及に顔を逸らし、声を荒げて否定すると、彼は私の顎を掴んで目を合わせた。
< 157 / 263 >

この作品をシェア

pagetop