銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「そうかな?顔が真っ赤だぞ」

「あ、あなたの目もおかしいのよ!」

反論する私をじっと見つめ続けるジェイ。

「確かに……おかしくなってるかもしれないな。今はお前しか目に入らない」

フッと微笑して、彼は私の唇を奪う。

それは、まるで媚薬。

意地悪なのに……どうしてこんなにキスは甘いのか。

ずっとこうしていられたらどんなにいいだろう。

彼のキスに溺れていたら、近くで「コホン」と咳払いが聞こえて慌てた。

ぎゃあ、ゴードン‼︎

いつの間にかゴードンが入ってきたらしい。

「ジェイ、ちょっと来てくれないか?」

ゴードンは不自然なくらい私を見るのを避け、ジェイに話しかける。だが、それが余計に恥ずかしい。

「ああ、今、行く」

ゴードンに返事をしながら、ジェイは落ち着いた様子で私の服を元に戻す。

キスしてるの見られたのにどうしてそんな平然としてられるのか。
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