銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
むしろ、私の世話役から解放されて、ほっとするかもしれない。

彼は私が怪我をした責任を感じて面倒を見ているだけなのだ。

「セシル様、ジェイ様はとてもあなたのことを大事に思っていますよ」

「それは違うわ!彼は……‼︎」

少し感情的になり、声を大にして反論していたら、ギリアンが部屋に入ってきた。

彼の姿を見て口をつぐむ。

「これはお美しい。ジェイも益々あなたの虜になるでしょうね」

ギリアンは私を見て褒め称えるが、私の側にくると
、「これはいりませんよ」とカツラを取り上げた。

「待って!これがないと変に思われるわ」

カツラを取り返そうとしたら、ギリアンは私の目を見て穏やかな声で告げた。

「今夜から公爵令嬢にお戻り下さい。大丈夫です。あなたを見てきっと陛下も殿下もお喜びになられます。私もゴードンも、そしてジェイも全力であなたをお守りしますよ」

「でも……」
< 163 / 263 >

この作品をシェア

pagetop