銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「さあ、もう時間です。参りましょう」

躊躇する私をギリアンは部屋から連れ出す。

階段を下りて正面にある長い廊下を進めば、そこは大広間。

みんな煌びやかな衣装に身を包み、ダンスを踊っている。

クレアが忙しくしてたのは、これの準備のためだったのね。

「……舞踏会」

大広間に一歩足を踏み入れ、呆然とその様子を眺めた。

小さい頃夢見た世界がそこにある。

大広間の天井のシャンデリアが光輝いていて、目に眩しい。

子供の頃、何度もお辞儀やダンスの練習をした。

社交界デビューは結局出来なかったけど……。

中央には銀髪のジェイの姿。

正装した彼はとてもカッコ良くてキラキラして一際目立っていた。

私が彼を好きだからだろうか?

そう思ったけど、周囲の女性も彼に羨望の眼差しを向けている。

ジェイは美形ですものね。
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