銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
陛下と談笑していた彼は、私の視線に気づいたのかこちらに目を向けた。

絡み合う視線。

私がジェイに見惚れていたら、側にいたギリアンが優しく微笑んだ。

「さあ、殿下がお待ちですよ」

「”殿下”?」

ギリアンの言葉に小首を傾げる。

私の視線の先にいるのはジェイだ。

殿下はどこに……⁉︎

辺りをキョロキョロ見渡すが、彼の周囲にそれらしき人はいない。

ギリアンの視線の先をもう一度確認すれば、やはりジェイしかいなかった。

ということは……。

彼が王太子殿下⁉︎

え?ええ〜⁉︎

食い入るような目で彼を凝視する。

ジェイは心臓が口から飛び出しそうなほど驚いている私に一歩一歩靴音を響かせながら近づき、にこやかに微笑んで手を差し出す。
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