銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
エミリー様はいつも頑固でなかなか言う事を聞かないけど、今回は彼女の言い分もわかる。

辺境の地にいる貴族の中でも身分の低い男爵令嬢が丁重に扱われるとは思わない。

それに、遊び人の王太子の相手となれば、私でも行きたくなくなる。

コンラッド男爵も娘の気持ちがわかるだけに強くは言えない。

「エミリー、お願いだ。国王陛下の命に逆らえば、私は爵位を剥奪されるかもしれない」

困惑顔で彼はエミリー様に頼む。

「だったら、そこにいるセシルを替え玉にすればいいのよ。どうせ私の顔なんて誰も知らないし、気づかれないわ」

エミリー様はチラリと私を見て、淡々とした口調で提案する。

本の虫だけあって、彼女は頭が良い。

エミリー様の発言にギョッとした私は狼狽えた。

「か、替え玉なんて無理です!」

< 31 / 263 >

この作品をシェア

pagetop