銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「クレア……気持ちは嬉しいけど、私ひとりで大丈夫だから」

クレアは私のせいでずっと苦労してきた。これ以上、面倒はかけたくない。

すぐに断るが、彼女は引き下がらなかった。

「男爵令嬢には、お世話をする人間が必要ですよ」

クレアは有無を言わせぬ笑顔で押し通す。

それで話は決まり、一ヶ月後に王室から迎えの馬車が来た。



エミリー様のドレスを身につけて彼女の振りをし、一週間ずっと馬車に乗り続け、ようやく王都に入った。

五年前のあの悲惨な出来事を思い出さずにはいられない。

赤い炎で焼かれた屋敷。

あの場所は今……どうなっているのだろう。

何か父か母の形見でも残ってはいないだろうか?

ううん、五年も経っているのだ。
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