銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
多分、今の国王の政策がいいからだろう。

だから、思わずにはいられない。

もし五年前もハワード三世が国王だったら、父と母は死ぬことはなかったかも。

見覚えのある通りに差し掛かった時、ヒヒーンという馬のいななきが聞こえて馬車が急停車した。

「どうしたのでしょうね?」

クレアが私に目を向け首を傾げる。

「何かしら?」

客車の窓から外の様子を眺めると、数人の男が御者に襲いかかっていた。

マズイ!

逃げなきゃ。

そう思った瞬間、客車のドアが開いて黒衣を身に纏った男が私達を「こっちに来い!」と引きずり降ろそうとする。

ドレスの裾を掴んで、中に入ってきた男を思い切り蹴り上げると、クレアに向かって叫んだ。

「助けを呼んで来て!」

そう言えば彼女はすぐに逃げると思った。

「逃げて」と言ったら絶対に私の側から離れなかっただろう。
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