銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
私の蹴りを食らった男の仲間が中に入って来て、私の喉元にナイフを突きつける。

その男の頰には傷があった。

「大人しくしろ!とんだじゃじゃ馬だな」

ナイフの冷たい感触に身体が硬直する。

流石に反撃出来ず、じっとしていたら男に目隠しをされ、両手もロープの様なもので縛られた。

だが、恐怖で震えることはない。

野盗に襲われるのに比べたら、まだ冷静に状況を考える余裕がある。

伊達に何度も野盗に襲われてはいない。

クレアは無事に逃げられただろうか?

彼女も女性にしては俊敏だし、足も速い。

どうか逃げ切って!

そう祈っていたら、馬車はまた動き出した。

どうやら馬車ごと私を誘拐するつもりらしい。

一体どこへ向かっているのか?

目隠しをしているということは、多分見られて都合の悪いものがあるということだ。
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