銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
それに、私を殺す気は無いのかもしれない。

王室の馬車だから襲われた?

それとも、最初から男爵令嬢と知ってて襲われたのか……。

「どこに連れて行くの?」

相手の目的を探ろうと、暴行されるのを覚悟しながら質問した。

「いい所だ」

男は楽しげに言う。

しばらく乗っていたら馬車は停車し、「ほら、降りるぞ」と頰に傷のある男に声をかけられ、客車から連れ出された。

ガシャンという重厚な音がして、「そのまま真っ直ぐ歩け」と男に背中をドンと押される。

男の言葉に大人しく従い歩けば、何か建物の中に入ったのか、日の光を感じなくなった。

冷んやりとして少しカビ臭い空気が漂っている。

ここは一体どこなの?

王都を抜けるほど遠くへは来ていないはず。

足を止めると、男に背中を蹴られた。

「おら、止まらず歩け!」

「うっ!」
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