銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
あの時は心臓がバクバクして死にそうだった。

男女の営みなんて全く知識はないのだけど、実際はああいうものなのだろうか?

全てを忘れるくらい相手に夢中になって溺れる。

……他の男だったらきっとちゃんと抵抗出来ていたと思う。

ジェイだから……応えてしまったんだ。

あの人の魅力には抗えない。

それに私の記憶よりも彼はもっと精悍な顔つきになって、男の魅力に満ち溢れている。

「悪魔のように美しくて……危険な人」

ボソッとそんなことを呟いたら、クレアが首を傾げた。

「……それ、誰のことですか?そう言えば、セシル様を助けてくれた銀髪の方……とても見目麗しくて、ビックリしました。カツラ騒ぎでじっくり堪能出来ませんでしたけど……」

ジェイのことに触れられドキッ!

「ああ……彼ね」

顔を引きつらせながら頷く。
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