銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
彼女がドアを開けると、メガネをかけた黒髪の青年とその部下らしき侍従が三人、手に箱を持って入ってきた。

「私は宰相のギリアンだ。この度は、事件に巻き込んでしまい誠に申し訳ない。お詫びと言ってはなんだが、当座の間必要な服や装飾品をこちらで用意させてもらった」

突然の宰相の訪問。

何かあるのかと勘繰ってしまう。

警戒しながらも、スッと椅子から立ち上がり、ニコリと笑ってみせた。

「全てを失い、困っていたところです。ご厚意に感謝致します」

「陛下も殿下も今回の事件に深く心を痛めてらっしゃいます。昨夜はよく眠れましたか?」

宰相が頰を緩め、優しく声をかける。

その言葉を聞いて、ジェイのことを思い出し、顔が熱くなった。

「あの……その……よく眠れました」

頰に手を当て、俯いて答えると、宰相はなぜか満面の笑みで相槌を打つ。
< 89 / 263 >

この作品をシェア

pagetop