嘘つきな君
「胸を張れ。もっと自分に自信を持て」
「――」
「さっき言った通り、おまえは俺の有能な秘書だ」
真っ直ぐに向けられる視線と言葉に、目頭が熱くなる。
なんだか胸が押しつぶされる程苦しくて、唇をぐっと噛んだ。
その時。
「おやおや。これは驚いたな」
突然聞こえた心臓を震わせる様な低い声に、思わず背筋が凍る。
勢いよく振り返ると、さっきの取巻きの中にはいなかった一人の男性が、薄ら笑いと共にワインを片手に私達に近寄ってきた。
そのどこか傲慢そうに見える態度が、なんだか気に食わない。
それでも直ぐに笑顔に切り替えて、深々と頭を下げた。
確か、この人は……。
「園部会長」
常務も少し姿勢を正して、お辞儀をする。
神谷グループの三本の指に入る、大きな取引相手。
園部グループ総裁だ。