嘘つきな君
ポツンと残された会場の真ん中で、ギュッと拳を握る。
あんな常務の顔、初めて見た。
まるで感情が欠落した人形みたい。
光の灯らない、どこか暗い瞳。
なんだか、今にも崩れ落ちてしまいそうな危うい雰囲気。
いつもの、傲慢で自信家の姿はそこには無かった。
「常務」
なんだか一人にしちゃいけない気がした。
広い背中が泣いている様に見えたから。
徐々に速足になっていく足取り。
そして、いつの間にか駆けだして、私は彼の後を追った。