嘘つきな君

その後、急いで新幹線の時間を変更して私達は神谷ビルへと戻った。

帰りの新幹線の中で、常務は一言も話さなかった。

ずっと口を閉ざしたまま、移り変わる窓の景色を、ただ、じっと見つめていた。





「ゴメン仁美――うん。今仕事終ったの。そう――うん。また来週でもいい?」


重たい足を引きづりながら、少し薄暗い社内を歩く。

会社に着いたのは、もうすっかりみんなが帰った後だった。


人気のない廊下を携帯片手に歩きまわる。

いつもは活気に溢れた社内も、こうやって見ると別の場所の様だ。


「ごめんね。もっと早くに連絡すればよかったんだけど」


本当は仁美とこれから飲む約束をしていたけど、今はそんな気分には到底なれなかった。

それに、今彼を一人にはできないと思った。

仁美には本当に申し訳ないけど、この埋め合わせは今度しよう。

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