嘘つきな君

「そういう菅野先輩も、仕事人間じゃないですかっ!!」

「あ、先輩、商社でしたっけ?」

「ん? あ~まぁな」


昔っから要領のいい2人。

特に菅野先輩は頭の回転が速くて、人当たりがいい。

志望していた企業にも、すんなりと内定を貰っていた。

なかなか内定が貰えなくて騒いでいた私とはレベルが違う。


「俺は男だから仕事してなきゃマズイだろ」

「女もですよ!!」

「菜緒まだ26歳だろ? まだ若いんだから仕事の幅は広いよ」

「そ……そうなのかな」


菅野先輩の言葉に頷いてはみたけど、このご時世そんな上手い事話しがトントンと進むとは思えない。

テレビでもどこでも、就活生が苦労している話はよく聞く。

ましてや特に目立ったキャリアも資格もない私は、真っ先に負け組に入るだろう。


「負け組……かぁ」


言葉に出した事で、より心にダメージを食らう。

仕事をしていないっていう事が、なんだか社会から見放されているみたいで、自分が酷く不良品の様に見えた。

それはきっと、目の前の2人が誰もが羨む様な仕事をバリバリこなしているからもあると思うけど。
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