嘘つきな君
薄暗い部屋の中で灯る携帯の明かりが、目の奥に痛みを残す。

それでも、萎めた瞳の先に見えたものに目を見開く。

そこに見えたのは、見た事も無い程無邪気な笑顔で笑う常務の姿だった。


「大学時代のアイツの写真だ。ハリウッドの映画専門の大学に進んでた」

「こ……これ、神谷常務ですか?」

「別人みたいだろ?」

「――初めて見ました……こんな楽しそうに笑っている常務」


渡された携帯を握りしめて、その画面を食い入る様に見つめる。

小さな画面の中の彼はまだどこか少年みたいに幼いけれど、今の面影をしっかり残している。

それでも、眩しいほどの笑みを浮かべるその姿は、私の知っている神谷常務とは別人だった。


「ずっと夢だった世界に飛び込めたんだ。この時が一番楽しかったって、アイツもよく言ってたよ」


どこか優しい表情でそう言って、私と同じように画面に映る神谷常務を見つめた先輩。

その姿を見て、2人は本当に仲が良いんだと悟る。



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