嘘つきな君
「あんなに輝いていたアイツの瞳は色を失って。すべてに絶望して、何もかも諦めた様な、そんな顔だった」
「――」
「あいつの周りだけ、時間が止まってた」
背もたれに寄りかかっていた体を持ち上げて、頬杖をついた先輩。
そして、どこか寂しそうに前を見つめた。
「気丈に振る舞っていても、ふとした瞬間に見せる顔は本当に見ていられなかった」
「――」
「それでも、アイツは一度も弱音も文句も吐かなかった。育ててくれた恩があるからって」
「――…恩」
「それでも、一度だけ。たった一度だけ吐いたアイツの弱音は、今でも忘れられない」
「弱音……?」
息をするのも苦しい中、恐る恐る言葉を発する。
不安気に瞳を揺らす私を横目に見て、先輩は小さく頷いた。
そして。
「俺は、全てを得たと同時に、全部失ったって」
その言葉に、声を上げて泣きたくなった。