嘘つきな君
「素敵な人なんですね。社長は」
だって、こんな素敵な場所を造ったんだもん。
ここで働く社員は皆、ここで働ける事を誇りに思っている。
私も含めて。
「――そうだな」
だけど、返ってきた言葉はどこか感情が灯っていない、淡白な返事だった。
思わず隣に顔を向けると、視線をコーヒーに落として口を閉ざす彼がいた。
その姿に違和感を覚える。
「どうしたんですか?」
どこか陰った横顔を覗き込む。
すると、そんな私に気付いた彼がゆっくりと顔を上げて、どこか寂しそうに微笑んだ。