嘘つきな君
分かっている。
この恋が期間限定である事なんて。
覚悟している。
いつかは、この手を離さなければいけない事なんて。
この恋には、いつか終わりがある事も。
誰かに譲らなければいけない事も。
その時、私は笑って送り出さなければいけない事も。
全部分かっている。
笑い合っている時も。
唇を重ねあっている時も。
いつも、頭の端でその事を考えている。
いつか、彼を忘れなければいけない。
思い出を消さなければいけない。
ただの、社長と秘書に戻らなきゃいけない。
だけど、好きな気持ちが増える度に思う。
そんな辛い事、本当に私にできるかな、って。
小さな思い出が1つ増える度に、未来が怖くなる。
彼への想いが強くなる度に、涙が出そうになる。
いつか訪れるその時を想像しただけで、胸が張り裂けそうになる。
覚悟しているつもりなのに、その未来が来る事が怖くて堪らない。
いっその事、逃げてしまえば楽になるのかもしれない。
そう思った事もある。
未来を想像した時に、あまりにも辛くて。
思い出が少ない、今の内に彼の手を離してしまえば。
傷つく事が少ないのではないかって。
だけど、やっぱり無理だと悟る。
刹那の時間だと分かっていても、あなたの元から離れるなんてできない。
この気持ちに蓋なんてできない。
傍にいたい。
やっぱり私は、あなたの側にいたい。
ねぇ。
時間が止まればいいなんて言ったら。
きっと、あなたは悲しそうな顔で笑うんだろうね――。