嘘つきな君







「お疲れ様~」


頼んでいたワインがようやく来た所で、カツンとグラスをぶつける。

目の前では、相変わらず世の中のトレンドを真っ先に取り込んだような、お洒落な仁美。


「ぷはーっ。うまいっ!!」

「ねぇ、それビールの時に言う言葉じゃない?」


グイッと口元を拭った仁美に、クスクスと笑う。

それでも、優雅に頬杖をつきながらワインを飲む姿はやっぱり綺麗だ。


「一日の終わりに飲むお酒ほど、美味しいものはないね」

「仁美、昔から酒豪だもんね」

「あんたも同じくらいザルでしょ」


運ばれてきたチーズを口の中に放り込んで、お互いの近況を報告をする。

つい最近まで海外で仕事をしていた仁美と会うのは久しぶりだ。


「はい、これお土産」

「うわっ、なんでこんなデカイやつなの」


取材でタイに行っていたらしい仁美。

なんだか不気味な象の置物を、重たそうにテーブルの上に置いた。


「あんた欲しがってたでしょ。そういう置物」

「いや、限度ってもんがあるでしょ」

「え~」

「ん、まぁ、いいや。ありがと」


顔くらいある大きさのそれを受け取って笑う。

それでも、目の部分に何か宝石でも入っているのか、怪しく光っている。

わぁ……普通に不気味だ。


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