嘘つきな君
 
そんな、どこか不気味な象の置物をテーブルの隅に置いて、久しぶりの食事会を再開する。

相変らずよく食べる私達のテーブルの上は、あっという間に料理で埋め尽くされた。


「で。どうだった? タイは」

「ん~、私はちょっと苦手だったな。臭いし」

「タイって臭いんだ?」

「なんだろうね、独特の匂いがした」


よほど日本食が恋しかったんだろう。

さっきからキュウリの漬物をポリポリと食べている仁美。


その姿を横目に、いつ話しを切り出そうか迷う。

バタバタしてる間に神谷常務と付き合いだして、もう一カ月も経ってしまった。

真っ先に報告しようと思っていたのに、ここまで仁美にはズルズルと言えずじまいだった。

メールで言っても良かったけど、やっぱり直接会って言いたかったし。
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