嘘つきな君
「凄い凄い! やだ、おめでとう!」
「ふふ、ありがとう」
「あんな日本を代表するホールディングスの次期社長と付き合えるなんて、凄いよ! シンデレラストーリーじゃない」
「も~大袈裟だって」
「大袈裟じゃないってば! それ程凄い人なのよ、神谷さんって!」
その言葉を聞いて、嬉しさと共に、どこか寂しさが胸に巣食う。
改めて現実を目の当たりにして、胸が微かに締め付けられた。
やっぱり、住む世界が違うんだなって思った。
「そう……なんだろうね」
「何、他人事みたいな事言ってんのよ。で、で、どうしてそうなったの」
目を輝かせて、私に詰め寄る仁美。
その姿に苦笑いを浮かべながら、ここまでの経緯を話した。
◇◇◇
「――ふ~ん……なるほどね」
「改めて思い返せば、結構速い展開だったんだね、私達」
「まぁ、初めて会った時から互いに惹かれ合ってたんじゃない」
「そう……なのかな」
再び落ち着きを取り戻した仁美が、ワインを口に運びながらニヤリと笑う。
その姿に恥ずかしくなりつつも、仁美が言ってくれた言葉に頬が上がる。
「いいなぁ、玉の輿じゃない。一生遊んで暮らせるわよ」
だけど、その言葉を聞いて笑顔が剥がれる。
それと一緒に、ゆるゆると下がっていく視線。
ここまで話したのは、綺麗な部分だけ。
ただの恋人同士になっただけの話。
だけど、本当は――。