嘘つきな君
その言葉に、その表情に、一気に胸が締め付けられて苦しくなる。
物凄いスピードで、この胸の想いを濃くしていく。
愛されていると、分かる。
愛していると、分かる。
だけど、それと同時に湧き上がる、別の胸の痛み。
嬉しいはずなのに、幸せなはずなのに、悲しくなる。
どんどん彼を好きになっていく。
その度に、同じくらい悲しみが伸びていく。
付き合いだした頃は、ただ一緒にいられるだけで幸せだった。
だけど、思い出が増える度に、『その時』が来た時の悲しみも増えていく。
比例するように、『幸せ』と『悲しみ』が大きくなっていく。
「もう。からかわないで下さい!」
あまりにも胸が痛くて、逃げるように視線を窓の外に向ける。
ぎゅっと拳を握りしめて、強く瞳を閉じた。
――…これ以上、好きになる事が怖い。