嘘つきな君
静かになった部屋で、じっと『それ』を見つめる。
だって、信じられなくて。
「それって……」
ポロリと落ちた言葉に、常務が不敵に笑って答える。
揺れる私の視線は、真っ直ぐにそれに注がれる。
ハンガーに綺麗にかけられた、それ。
まるで妖精の羽の様に綺麗な――。
「お前のドレスだ」
「うそ……」
全身が震えた。
感動して、言葉が上手く出ない。
そんな私を見て、彼は満足気に笑った。
その姿を横目に、再び私の視線はドレスに注がれる。
まるで海の様に真っ青なドレス。
その上に、まるで妖精の羽の様に広がるレース。
星空のように眩い宝石が、胸元に散りばめられている。
あまりの綺麗さに、言葉が出ない。
「驚きすぎ」
「だって……」
「着てみろよ」
呆然と立ち尽くす私の腕を引いて、彼がそう言う。
聞きたい事が沢山あるのに、言葉が出なくって小さく頷いた。