嘘つきな君
その後、彼が電話で呼んだホテルの女性スタッフにドレスを着せてもらう。
生まれて初めて着るドレスに、胸が一気に高鳴る。
髪の毛も緩く巻いて、アップにしてもらった。
「ピッタリだ……」
鏡の中に映った自分を見て、ポツリと呟く。
海のようなそのドレスは、見事にサイズがピッタリだった。
床まで広がる真っ青なドレス。
濃淡様々な青が折り重なっていて、とっても綺麗。
そして、キラキラと胸元に輝く宝石が眩しい。
まるで夢の中にいるような気分になる。
初めて着る、お姫様の様なドレス。
何度も鏡の前でクルクル回っては、自分の姿を見た。
彼が私の為に用意してくれたドレス。
その事に、嬉しくて泣きだしそうだった。
薄らと浮かんだ涙を押し込んで、恐る恐る部屋の扉を開ける。
そして、慣れない足取りでソファに座る彼の元へ歩いていく。
すると、衣擦れの音を聞いた彼がゆっくりと視線を私に向けた。
「ど、どう……かな」
それでも、なんだか恥ずかしくて顔を上げられない。
ギュッとドレスの裾を握って、目を泳がせた。
すると、ゆっくりとソファから腰を上げた彼が私の元に歩み寄ってくる。
そして、俯いたままの私の手を引いて、近くにあった姿見の前で止まった。
「顔上げろ」
恥ずかしくて俯いたままの視線を、その声に導かれるように持ち上げる。
すると、そこに映し出されたのは、顔を赤くした私。
そんな私の両肩に後ろから手をそっと置いた彼。
そして。