嘘つきな君
◇
「本日はお招き頂き、ありがとうございます」
綺麗なドレスに身を包んだ女性と、可愛らしい蝶ネクタイをつけた男性が、ニッコリと微笑んでお辞儀をする。
その2人を見て、瞬きも忘れてポカンと口を開ける。
だって。
どこからどう見ても、先日ハリウッド映画に出ていた2人だ。
パーティーが始まって、早1時間。
始めは緊張してガチガチだった私も、少しづつ慣れてきて笑顔も出せるようになった。
案の定、列席者の方々は超大物ばかり。
なんだか有名な映画祭にでも来てるみたいだ。
「あら、今日は可愛らし方をお連れなのね」
真っ赤なルージュが塗られた唇を持ち上げて、常務の隣に並ぶ私に視線を送った女性。
その笑みに応える様に、渾身の笑顔を振りまく。
「初めまして、芹沢菜緒と申します」
「ふふっ、やっぱり日本の女性は可愛らしいわね」
ペラペラと女性の口から零れる言葉は、もちろん英語。
もちろん、言葉が分からず笑顔のまま隣の常務に助けを求めて視線を送る。
すると。
「――…今度ハリウッドの映画に出ないか? だとよ」
「嘘っ!?」
「冗談だ。日本の女性は可愛らしいってよ」
「――」
私には余裕がないんだ。
お願いだから、真面目にやってほしい。