嘘つきな君








「本日はお招き頂き、ありがとうございます」


綺麗なドレスに身を包んだ女性と、可愛らしい蝶ネクタイをつけた男性が、ニッコリと微笑んでお辞儀をする。

その2人を見て、瞬きも忘れてポカンと口を開ける。


だって。

どこからどう見ても、先日ハリウッド映画に出ていた2人だ。


パーティーが始まって、早1時間。

始めは緊張してガチガチだった私も、少しづつ慣れてきて笑顔も出せるようになった。

案の定、列席者の方々は超大物ばかり。

なんだか有名な映画祭にでも来てるみたいだ。


「あら、今日は可愛らし方をお連れなのね」


真っ赤なルージュが塗られた唇を持ち上げて、常務の隣に並ぶ私に視線を送った女性。

その笑みに応える様に、渾身の笑顔を振りまく。


「初めまして、芹沢菜緒と申します」

「ふふっ、やっぱり日本の女性は可愛らしいわね」


ペラペラと女性の口から零れる言葉は、もちろん英語。

もちろん、言葉が分からず笑顔のまま隣の常務に助けを求めて視線を送る。

すると。


「――…今度ハリウッドの映画に出ないか? だとよ」

「嘘っ!?」

「冗談だ。日本の女性は可愛らしいってよ」

「――」


私には余裕がないんだ。

お願いだから、真面目にやってほしい。




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