嘘つきな君
次から次へと訪れる、VIPな顔ぶれ。
いつものパーティーでは日本で有名な人達が多いが、会場が海外ともなると、やはり訪れるお客様も世界を股にかけたような人達だ。
その人達と普通に挨拶を交わす常務を見て、やっぱり住む世界が違うと実感する。
「どうした? 疲れたか」
私の笑顔が曇っていると感じたのか、不意に顔を覗き込んできた常務。
その姿を見て、伏せていた瞳を一気に持ち上げて笑顔を作る。
「大丈夫です」
「お前の大丈夫は、あてにならない」
だけど、どんな人と話していても。
どんな笑顔を振りまいていても。
私の前では、彼も一人の『神谷大輔』に戻ってくれる。
私の『彼氏』に戻ってくれる。
「あっちで少し休むか」
慣れないドレスと、慣れない雰囲気に、少なからず疲れを感じていた私。
そんな小さな変化をも、敏感に感じ取ってくれて気にかけてくれる。
その優しが嬉しくて、微笑みながらコクンと頷く。
そして、差し出された手を取って会場を抜け出した。