嘘つきな君
キラキラと輝く会場をじっと見つめる。

あれも全て、マガイモノかと思いながら。

すると。


「だけど、お前だけは違った」

「え?」


不意に落ちた言葉に、パッと視線を持ち上げて彼を見つめる。

すると、優しく瞳を細めた常務が、私を見下ろしていた。


「初めて会った時も、常務として再会した時も、お前は一度も俺に媚びようとしなかった」

「――」

「俺を、『常務』ではなく『神谷大輔』として見てくれた」


その言葉に、初めて会った時の事を思い出す。

彼と再会した時の事を思い出す。

そして、確かにそうだねと思って可笑しくなる。


第一印象から、悪魔みたいな男だと思っていた。

意地悪で、傲慢で、口が悪くて、俺様で、最低な男だって。

二度と関わりたくないって。

だけど、違った。

本当は不器用なだけで、優しい事を知った。

繊細で、とても弱い事を知った。


――…そうだね。

私は初めて会った時から『神谷大輔』という人間しか見てなかったのかもしれない。

仮面をつけた、あなたなんて興味なかった。

本当の、あなたをずっと追い求めていた。


すっと手を伸ばして、彼の頬を指で撫でる。

まるで陶器の様に滑らかな肌。

そして、私を見つめる黒目がちな瞳。

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